<目次 >
交流分析とは
Transactional Analysis
1950年代半ばにアメリカの精神科医エリック・バーン(Barn,E.)が「互いに反応しあっている人々の間で行われている交流を分析すること」を目的として開発した理論と治療技法。
人は自分の存在を認めてもらいたいために交流(ストローク)を求める強い欲求がある。
基本的な人間観やコミュニケーション観、無意識を仮定せずに「今・ここ」を重視する。
現在では、教育、ビジネス、医療、介護、子育て、職場におけるメンタルヘルス対策、コミュニケーションの活性としても活用されている。
ストロークについて
ストロークとは他者との関りを示す。
人から人への行為全般のこと。
人が他者に与える認識、注意、反応をすべてを指す。
「プラスのストローク」・・・ほめる、なでる、笑顔を向けるなど
「マイナスのストローク」・・・けなす、怒る、たたくなど
またストロークは「無条件」と「条件付き」に分けることもできる。
「無条件」・・・あなたがいるだけで、どんなときも 等
「条件付き」・・・仕事ができるあなたが、言うことを聞くなら 等
赤ちゃんは生まれた時から親や周囲の人によって、
“15分でわかるはじめての交流分析”「2.人間の心を育てるストローク」 http://kokoro.mhlw.go.jp/e_transaction/
抱っこされ、ほおずりされて育ちます。
「かわいいね」と声を掛けられ、笑顔を向けられ、
たくさんの愛情あふれる関わりを受けます。そこ
から、「私はOK、あなたもOK」という人生の基
本的な構え方を体感的に身につけていきます。
OKとは、「自分はここに存在していい」という
自尊感情の原点であり、「私は明日に向かって生
きていける」という自信の基になるものです。こ
のような関わりを「ストローク」といいます。
肌の触れ合いやほほ笑み、愛情ある関わりなど、
“15分でわかるはじめての交流分析”「3.ストロークは相手の存在を認めるメッセージ」 http://kokoro.mhlw.go.jp/e_transaction/
ストロークは「あなたという存在を認めている
よ」という存在認知のメッセージです。自分と
いう人間(人格)を形成するための心の栄養素でも
あります。
人は生まれた時から死ぬまで、「心の栄養」で
あるストロークを求めます。抱っこのような肌
の触れ合いを通しての身体的ストロークに始ま
り、成長するにつれ、ほほ笑みや気づかう態度
などの精神的なストロークが増えます。
一方、「それをしては、ダメ」の叱責も、存在
認知のひとつです。
無条件の肯定的ストロークを受けることによって、自尊感情が高まり、前向きに生きていけるという自信を得る。
否定的無条件ストロークを受けると、自尊感情が低下し、それが続けば心身の不調を生じることもある。
ストロークが不足する状態が続くと、無意識に否定的ストロークでも構わないので求めるようになる。
例:いじめられていても、離れると誰からもストロークが来なくなることを恐れ
そのグループから抜けられない
●肯定的ストローク=陽性のストローク=プラスのストローク
●否定的ストローク=陰性のストローク=マイナスのストローク
4つの分析
交流分析は、心の構造や機能を記号や図式を使って分かりやすく説明している。
●構造分析
●やりとり分析
●ゲーム分析
●脚本分析
構造分析
人には誰にも
・「親」Parent[P]
・「大人」Adult [A]
・「子ども」Child [C]
の3つの自我状態がある。
さらに「親」を「批判的な親」Critical Parent [CP] と「養育的な親」Nurturing Parent [NP] 、「子ども」を「自由奔放な子ども」Free Child [FC] と「順応した子ども」Adapted Child [AC] に分け、下記5つの自我状態に分類する。
個人や状況により優位となる自我状態が異なる。
CP |
NP |
A |
|
FC |
AC |
表にしたものを「エゴグラム」(※)と呼ぶ
※「エゴグラム」はデュセイ(Dusay,j.m.)が開発した性格検査
※日本では「 TEG II(Tokyo University Egogram / 東大式エゴグラム Ver. II)」が開発・使用されている
やりとり分析
2者間における相互にやり取りする言葉や態度が、どの自我から出ているのかをベクトルで分析する。
・相補的交流:やり取りがスムーズな交流
・交差的交流:やり取りに行き違いが生じるような交流
・裏面的交流:やり取りに裏と表があるような交流
ゲーム分析
悪循環に陥った対人関係を「心理ゲーム」と呼び、そのゲームパターン(関係パターン)を分析し、個人がもつゲーム内容を明らかにし、それを修正することを目的とする、交流分析の中核。
脚本分析
交流分析では、人は子どもの頃に人生のシナリオ(脚本)を書くと考え、その脚本は人生の中で改定されていくが、核となる話は一般的に7歳頃までに決定され、大人になっても気づかないものであるとしている。
親からの否定的メッセージによって形成され、人が強制的に従ってしまう人生脚本を分析し、内容を知り、“今、ここ” で書き換える決定(再決断)をし、新しい人生を歩みだすことが交流分析の最終的な目標とされている。
参照 > 自己スキーマ
<参考文献>
・心理学専門学校ファイブアカデミー(2018)『’18→’19年版臨床心理士試験徹底対策テキスト&予想問題集』ナツメ出版企画
・石丸昌彦・ほか著(2019)『今日のメンタルヘルス』石丸昌彦編 放送大学教育振興会
・「交流分析」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2019年8月29日 (火) 14:00 UTC,URL: https://ja.wikipedia.org
・「自己スキーマ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2019年8月29日 (火) 14:20 UTC,URL: https://ja.wikipedia.org
・“こころの耳” 「15分でわかるはじめての交流分析」 http://kokoro.mhlw.go.jp/e_transaction/ 2019年8月29日アクセス
・“日本交流分析学会 ”「交流分析とは」 http://www.js-ta.jp/analysis.html 2019年8月29日アクセス
こちらの<心理学ノート>は、私が大学院入試のための勉強用にまとめたものです。
参考文献や引用に関しては、できる限り記憶を掘り起こし記載していますが一部漏れもあるかと思います。
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